「びーぐる」11号、刊行!
「びーぐる」11号が出ました。今号の特集は「時を越えて 新作詩篇と初期詩
篇」。1914年生まれの杉山平一さんから91年生まれの文月悠光さんまで、21人
の新作書き下ろしと初期詩篇を掲載しています。特に初期詩篇はそれぞれの
詩人の原点が垣間見られて、興味深い内容になっていると思います。
拙作のフォトポエム(写真・四元康祐)、今回のタイトルは「ベーカー街の雨
傘」。幽界から出てきたような男たちの後ろ姿の写真を見ながら、今回も苦しみ
ましたが、最終的には男女の日常の一コマを描いた詩にしました。映画「シェル
ブールの雨傘」もイメージしつつ。
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松下育男さんとの共詩の7作目は「破れた靴下ながめていると」。ここ数回ちょっとウエットな詩が続い
ていたので、今回はコミカルでシュールな味わいの詩にしました。読まれた方の反応が気になるところで
す。ちなみに8作目は目下進行中で、やっと最後の段階まで来ました。こちらは10ページを越える長編に
なりそうです。
「びーぐる」の入手方法は「情報」欄をご覧下さい。
目次の詳細は山田兼士さんのホームページ(11号の目次)でご覧頂けます。
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赤鼻のトナカイ
今日、病院へ行って、鼻の抜糸をしてもらってきました。黒い糸が取れて、見苦しさも少しはマシになっ
たけど、まだ傷痕が赤く腫れ上がっています。鏡を見ながら、何だか赤鼻のトナカイのようだなと思われ
てきて…(そんなにかわいいもんではないですが)。でもこれで癌細胞はきちんと取り除かれたとのこと
で、ホッとしています。
明日からやっと大学の授業を開始。久し振りに学生たちに会えるのを楽しみにしています。初対面の
学生は赤鼻に面食らうかもしれませんが。
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さようなら、衿子さん
岸田衿子さんが亡くなった。昨日の新聞には既に7日に亡くなっていたと書かれていた。どうしてこんな
に発表が遅れたのだろう。衿子さんのことだから、静かに旅立たせてほしいとでも近親者に言い残してい
たのかもしれない。
衿子さんと出会ってから13年ほどになる。初めて家に電話があった時には驚いた。一面識もない僕に
なぜ、と訝った。話を聞いて、やっと理由が納得された。新しく立ち上げる「林柳波賞」という童謡詩の選
考委員になってもらえないかというのが電話の用件だった。それにしてもなぜ僕に? その理由を聞く
と、まど・みちおさんの推薦と言うことだった。衿子さんがまどさんに、誰か適当な人はいないかと相談し
たところ、僕の名を挙げられたと言うことだった。まどさんとはその数年前から親しくさせて頂いていて、
詩集をお送りしたりしてもいたので、それで光栄にも推薦してくださったのだろう。
その年の夏(1998年9月)、軽井沢で初めて衿子さんに会った。お友達で、同じく選考委員になる予定
の中川李枝子さんもご一緒だった。喫茶店でしばらく話をし、そのあと北軽井沢のご自宅まで寄せて頂い
た。
衿子さんにまつわるエピソードは幾つもあって、次々と頭に浮かんでくる。でもそれはまたいつか別の
場にでも書きたいと思う。今、ただ一言だけ記すとしたら、歳を召されても、ずっとお嬢さまそのままのよ
うな人だった。純粋で、かわいらしい人だった。
享年82。髄膜腫で逝去。さようなら、衿子さん。
おまえが詩を捧げると
一せいに花は遠くなる
おまえが追うと
風は見えなくなる
そして空が真上にかえるとき
魚の鱗に雲はうつり
大人は去年の様に話しかけ
秋はその実の重さで測られる
(岸田衿子「今日の思出」より)
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手術の傷口よりも
今日、病院で皮膚癌の手術を受けてきました。手術と言ってもほんの30分ほどのもので、入院もなし。
麻酔をしたので、痛みもほとんどありませんでした。ただ、会計の時、予想以上に高額な代金を請求され
て、手術の傷口よりもこっちの方が痛いと、嘆きつつ帰ってきました。
手術の後、傷口を見せられました。かなり大きく縫われていて、傷痕はとうぶん目立ちそうです。今は、
鼻の上に大きな絆創膏を貼って情けない顔になっています。
東北では今日も大きな地震があり、余震も頻発しているようです。ニュースを見ながら、こちらは胸が痛
んできます。
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春の改札
我が家の周りでもやっと桜が咲きはじめました。山の上にあるので、周辺の地域よりも1週間ほど遅い
開花です。
咲きはじめた花を見ながら、何だかボーッとしています。やることはたくさんあるのに、どれもそんなに
急ぐことでもないように思われてきて…。こころの中にかすみがかかっているのかもしれません。
去年の春先に書いた詩を記します。
春の改札
青い空に
雲がひとつ
うかんでいます
野原に
いちめん
黄色い花が咲いています
こどもと犬が
立ちどまって見ています
こどもは雲を
犬は黄色い花を
絵本のような 美しい国
あちらへ行くには
どこで切符を買えばいいのでしょう
遠い
改札の向こうでは
まだ眠っているものたちへ
目覚ましが
やさしく
鳴り続けています
(「安穏」6号より)
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「きいちの音楽室」−「春の香り」
「きいちの音楽室」に4曲目をUPしました。
本当は3月11日の午前中にUPしていたのですが、その日の午後に大地震が起こり、公表を控えてい
たのでした。こんなときにこんなチャラチャラした歌はふさわしくないと思われて。
でも、今日から4月。いつまでも自粛モードを続けているのもどうかと思い、公表することにしました。日
本全体を覆っている重苦しい空気が少しずつ払われ、雲間から明るい光が差し込んでくることを願いつ
つ。
この歌も1976年11月に出した自主製作レコード『白い午後』の中の1曲。そして、唯一自分で歌ってい
ない曲です。当時、シモンズという女性フォークデュオがいて、とてもきれいなハーモニーを聴かせていま
した。そんな感じにしたくて、友人の妹二人にお願いして録音しました。ハーモニー自体はうまくできたと
思っていますが、音のバランスに失敗しました。演奏もリコーダの音が大きすぎ、耳障りになっています。
もう一度録音し直すことができたらと今でも悔やまれます。
録音には不満があるけれど、歌自体はけっこう気に入っています。歌詞も曲も恋する乙女の気持にな
って作りました(かなり無理がありますが)。
楽譜等は「作曲」欄に掲載していますので、そちらをご覧ください。
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ホクロか癌か Part2
今日、病院で精密検査の結果を聞いてきました。診断は、案じていたとおり皮膚癌でした。ただ、初期
であり、転移する種類の癌でもないということで少しホッとしました。手術は2週間後。幅5ミリ、長さ1セン
チ程度の皮膚を削られそうです。手術自体は簡単なもので、入院の必要もないとのことですが、鼻に絆
創膏を貼って、しばらくは情けない顔で表を歩くことになりそうです。でも、まあ、今さら顔を気にする歳で
もないし、これぐらいは仕方がないかと。
今日は久し振りに暖かな一日でした。本格的な春まで後もう少し。
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春のスイッチ
この4月から使われる教科書に拙作が掲載されています。小学2年生の「たのしい せいかつ(下)」
(大日本図書)と小学4年生の「新しい国語 四(上)」(東京書籍)の2つ。どちらも、偶然にも同じ詩が採
られています。「春のスイッチ」という題で、新しいスタートを切るのにふさわしい作品だと思われたのかも
しれません。
被災地では4月から学校を始められないところも多くあるかもしれま
せん。そんな子供たちにも、1日でも早く「春のスイッチ」が入ることを
願っています。
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春のスイッチ
春になったら
花が
いっせいにひらく
どこかで
誰かが ポンと
スイッチを入れたみたいに
ぼくにも
こんなスイッチ あるのかなあ
長い冬が過ぎ
いっせいに
ぼくのひらくような日が
いつか
ぼくにも
くるのかなあ
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ホクロか癌か
今日から1泊2日で毎年恒例のカニ満腹旅行に行く予定だったのですが、今回の地震に配慮して宿を
キャンセルしました。あまり自粛しすぎるのも、観光地に打撃を与えることにもなり、どうかと思うのです
が、気分的にどうも楽しむ気になれず、家族と相談して中止に決めました。カニはまた来年食べられる
し、代わりに近くの日帰り温泉にでも行こうと話し合っていたのですが…。
そういうわけで今日、予定が空いたので、総合病院の皮膚科に行ってきました。1ヶ月ほど前、別の治
療で皮膚科の個人病院へ行ったとき、前から気になっていた鼻の頭の小さなホクロをついでに診てもら
ったら、皮膚癌の可能性もあるから総合病院で精密検査を受けた方がいいと言われたのでした。
ホクロの細胞をほんの少し取る程度のことと思っていたら、局部麻酔をされ、メスで切り取られ、2針ほ
ど縫われました。検査でこんな大がかりなことになるとはまったく予想外でした。数日は風呂も控えるよう
に言われたので、日帰り温泉にも行けなくなってしまいました。この程度の我慢、被災地の人の我慢に比
べたら月とスッポンのようなもので、神さまから、おまえも少しは我慢しなさいと言われているのかもしれ
ません。
結果は来週には出る予定です。ホクロか癌か。もし癌だったら、これで3度目の癌。癌になりやすい体
質かもしれないなあ。
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約束の場所
ひび割れ 凍てついた 土の上にも草は萌え出る。
明日への 約束のように。
約束の場所
高階杞一
遠くから
小さなものが歩いてきます
はじめ
黒い点のようだったのが
近づくにつれ
大きくなって
やがて
顔もわかるようになり
そうして
長い時をへて
やっとここに着きました
何も言えずに 見つめていると
その子は
とてもきれいな笑顔で
言いました
ここで よかった
と
立ちつくす その小さな体を
抱きしめて
わたしも
その子に言いました
ずっとここで
君を 待っていたんだよ
(「安穏」8号より)
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