ねずみの嫁入り
最近、ある本を読んでいたら、「ねずみの嫁入り」という言葉が出てきました。「きつねの嫁入り」の間違
い?と思っていたら、こういう昔話があるんですね。知りませんでした。こんなお話です。
ねずみの夫婦が娘のお婿さんを探します。同じねずみにやるのはもったいない、世界一のお婿さんに
嫁がせたいと思い、「それならお天道さまだ」と考えて、お天道さま(太陽)に頼みに行きます。するとお天
道さまは、「いや、わたしは雲にかないません。わたしを隠してしまうから」と言いました。それを聞いて今
度は雲に頼みに行きます。すると雲は、「風にはかなわない」と言い、風に頼みに行くと、風は「いやいや
壁にはかなわない」と言う。壁に頼むと、壁は「ねずみにはかなわない」と言って、結局、ねずみに嫁がせ
ることになる。めぐりめぐって元に戻る、元のところにこそいいものがあるというたとえ話ですね。灯台下
暗しの教訓に通ずるところがあり、話が連鎖していくという点では、「風が吹けば桶屋が儲かる」とも似て
います。
昨日、やっとフォトポエムを書き上げて出しました。3日ほど前にできていたのですが、見直すたびに気
に入らないところが出てきて、何度も書き直しました。そして、最終的に出したのは、最初の形に近いも
のでした。まさに「ねずみの嫁入り」になった次第です。
|
|
|
|
ドレミファ娘で盛り上がり
昨日はガーネットの忘年会でした。と言っても関西在住の高階・神尾・やまもとの3人と、購読会員で毎
年常連の浜田裕子さんの4人。6時に行きつけの店に行くと、さすが年末、テーブル席はひとつしか余っ
ておらず、時間は8時までになりますと言われてびっくり。了解して案内された席に行くと、まわりはがら
がら。皆さん、予約しているようです。30分ほどすると、ほとんど埋まりました。こちらは、予約すると2時
間で追い出されるからと思って、予約せずに行ったのですが、結局同じことでした。
「今回の総選挙、投票先迷うなあ」「ホンマやねえ」「今の朝ドラ見てる?」「カーネーションまでは見てた
けど」「純と愛ってなんか、ジュンとネネみたいやなあ(古っ)」というようなたわいない話をしながら、食べ
て、飲んで、あっという間に2時間が経ちました。店を出て、まだ話したりないので、もう1軒別の店へ。こ
こも満員。4人掛けのテーブル席は空いていなくて、大きなテーブル席の角に4人並んで坐りました。もう
お腹はいっぱいなので、ひたすら日本酒を飲みました(4人ともお酒は強い)。
ここでは映画の話で盛り上がりました。どういう話の流れからか、日活ロマンポルノの話になり(これは
神尾さんの得意分野です)、僕が「ドレミファ娘の血は騒ぐ」がよかったというと、隣に座っていた浜田さん
が、「わたしも!」と大きな声で言いました。神尾さんは見ていないけど、さすがに内容は知っていました。
それから主演の洞口依子の話に移り、これでまたひと盛り上がり。ホラグチヨリコって新春の向田邦子の
ドラマによく出ていたよねと言うと、あれはドウグチって読むんですよと浜田さんに言われてびっくり。ほか
の2人もえー!っとびっくり。みんなホラグチヨリコと思っていたようです。まあそんなことを話しながら、こ
こでも2時間ほど。
飲み過ぎてふらふらになりながら、家に帰り着くと、コタツに入り、そのまま2時間近く眠ってしまいまし
た。
楽しい年内最初で、そしてたぶん最後の忘年会でした。それにしても4時間もいて、詩の話はひとつもし
なかったなあ。それがまあこのメンバーのいいところなんだけど。
|
|
|
|
難しい選択
「びーぐる」次号の原稿は、散文2つを書き上げて、数日前からフォトポエムにかかりはじめました。で
も、まだできません。まあいつものことですが、詩は時間がかかります。真っ白な紙を見つめて、何も浮
かんでこないと、ついイライラとしてお酒のメーターも上がっていきます。と言っても、3年前の食道癌の手
術前と比べると、半分にもならないほどの量ですが。
中村勘三郎さんが昨日亡くなりました。食道癌の手術の後、肺炎を発症し、それが重篤化したとのこ
と。57歳という若すぎる死に、惜しむ声がたくさん聞かれます。家人もファンだったので嘆いています。そ
して、しみじみと、「パパは早期でラッキーだったのよ」言います(子供はいないけど、ホッピーが子供を産
んでからなぜかパパと呼ばれるようになりました)。確かにそうかもしれません。勘三郎さんもお酒好きだ
ったようです。
明日は手術をした病院へ定期検診に行きます。3ヶ月に一度、降圧剤の薬をもらうための検診です
が、3回に1回は今でも胃カメラによる検診を受けています。次回がその胃カメラによる検診になる予
定。
再発防止のために、お酒をやめるか詩をやめるか。難しい選択ですが、まあ、長生きするには両方や
めた方がよさそうですね(たぶんできないと思うけど)。
|
|
|
|
火事!
昨日の昼過ぎ、近所で火事がありました。どこかでサイレンが鳴っているなと思っていたら、少しずつそ
の音が大きくなってきて、こちらに近づいてきます。火事かなと思って、2階の窓を開けると、我が家の裏
手の道を消防車が過ぎていくのが見えました。と同時に、ヘリコプターの轟音。上空で旋回しています。
その音に怯えたのか、ホッピーが1階から駆け上がってきました。
どこで火事だろうと眺めていると、白い煙が空へ上がっていくのが見えました。いつもの散歩コース上に
ある家のようです。1時間ほど経ってから、ワンコたちを連れてその家の方へ行くと、周囲に立ち入り禁
止のテープが張られ、消防車が5、6台ほど止まっていました。家からはまだ少し白い煙が上がっていま
す。建物はしっかりと残っていたので、初期の段階で消火できたみたいです。
この年末の寒い時期に、家の人は大変だなあと思いながら、その場を後にしました。
近所で火事があったのは小学校のとき以来です。そのときは一番の友達の家が焼けました。全焼でし
た。冬休み中に友達はどこかへ転校していきました。
火事は一番怖いです。お金には代えられない大切なものが、一瞬にしてなくなってしまうので。
帰る道すがら、伊藤整の詩を思い出しました。火事を描いた、心に染みる詩です。
梅ちゃん
梅ちゃんの家は焼けた。
ぼくと遊んだ頃の
婆さんは死に
爺さんひとり居る藁屋で
春の雪どけの晩
爺さんが酒をのんで火をだした。
火を吹いて 吹いて
あの藁屋が崩れた。
春になって 草がまっ蒼にのびた頃にも
焼あとには黒い掘立杭が立っていた。
ぼくが十八の春、
梅ちゃんは小樽のげいしゃ。
あの藁屋は燃えちまったよ。
(詩集『雪明りの路』より)
|
|
|
|
ポエトリーカフェ
柳波賞の授賞式は毎年2月の第1日曜日と決まっていたのですが、今回は会場となっている市役所の
建物が改修工事に入るとのことで、年内の12月23日(日)になりました。
この2月の授賞式前日には、毎年東京近郊の詩の知人数名と飲み会をしていたのですが、今回は年
末で、クリスマス直前ということもあって、誘うのを遠慮し、前日はホテルでひとり過ごそうと決めていまし
た。別に遠慮しなくてもいいじゃないかと言われそうですが、この時期の飲み会の過酷さは自分が一番よ
く分かっています。勤めていた頃、12月になれば、毎週最低でも2回、多いときは4回ぐらい忘年会という
名の飲み会が続き、辟易していました。それで相手に余計な負担をかけたくないという思いから、誘うの
を自粛した次第です。
ところが、思いがけずここに別な予定が入ってきました。10月に拙作をラジオで朗読してくださったpippo
さんから、運営している「ポエトリーカフェ」で高階さんの詩を取り上げたいとのこと。12月22日(土)、上京
されているなら参加してもらえないかとの依頼がありました。もちろん上に書いたように予定は入れてな
かったので、ありがたくお受けすることにしました。
会の詳細はpippoさんのホームページをご覧ください。参加申し込みは今日の午後9時から先着順との
こと。年末の慌ただしい時期、体力に余裕のある方はご参加ください。僕の顔など見ても、がっかりされ
るだけかもしれませんが(笑)。
|
|
|
|
名詩を発掘
このところ「びーぐる」次号の原稿に集中しています。今回は特集担当なので、いつもより原稿を多めに
書かなければいけません。まずは散文から。特集の原稿と連載の「詩歌の植物」3回目。どちらも何とか
1稿目ができました。まだかなり推敲をする必要がありますが、今月中には仕上げる予定です。
次号の特集名は「名詩を発掘−埋もれた宝石に光をあてる」。論考とアンケートで組み立てています。
自分の原稿もさることながら、どんな「埋もれた名詩」が出てくるか、今から楽しみです。
明日は久し振りに映画を観に行く予定。「のぼうの城」。おもしろいかな?
|
|
|
|
偶然の一致
久し振りに『だんご虫のゆめ』の注文がありました。朝、家人が電話を受けたのですが、相手の住所の
漢字がいくら聞いても分からなかったと、聞き取ったメモを見せられました。そこには「岡山県赤磐市スサ
イ」と書かれています。さっそく郵便番号から検索すると、「周匝」と出てきました。これで「スサイ」と読む
んですね。この「匝」の字を相手は一生懸命説明しようとしたけれど、家人にはそれが理解できなかった
ようです。
何はともあれ、その住所を書いて送る準備をし、大学の授業に向かいました。そして電車の中で本を読
んでいたら、なんとこの「匝」の字が出てきて、びっくり。高島俊男さんの本なのですが、そこに、「千葉県
匝瑳郡」と出てきます。「匝瑳」には「そうさ」とルビが振られています。帰ってから家人にこの話をすると、
家人も驚いていました。こういう偶然の一致ってあるんですね。朝、出かける前にこの「匝」の字が話題に
なっていなければ、「千葉県匝瑳郡」もすっと読み流しているところでした。
「匝瑳郡」を「そうさぐん」と読むのであれば、「周匝」も「すそう」と読むのではなかろうかという疑問が生
じて、「匝」の字を漢和辞典で調べると、字音は「そう」になっていました。意味は、「めぐる。周囲をぐるり
とひと回りする」となっています。さらに難読語として、「匝」1字で「すさい」という読みも書かれています。
念のため、「周匝」をネットで検索すると、「周匝駅」(岡山県赤磐市にあった廃駅)というのが出てきて、
「すさいえき」と読みが記されています。家人の聞き取った「スサイ」は間違いではなかったことが判明しま
した。
それにしても、「匝」の字、口で説明するとしたら、自分なら何と言うだろう。「くに(国)のたま(玉)と右側
をとって、たま(玉)の代わりにたこ(凧)の中身を入れるとでも言うかな。これだとますます混乱するかな
あ?
|
|
|
|
復刊に挑戦?
『早く家へ帰りたい』がアマゾンで21,000円という値が付いていて、今現在、この本を手に入れようとした
ら、ここで買う以外にないようだと書いたところ、何人かの人が、こんなネット書店に定価で出ていたと知
らせてくださいました。ありがたいお知らせですが、たぶん、定価で出ているものはどれもダメだと思いま
す。在庫切れの確認をしていないだけで、注文しても、在庫切れの返事が返ってくるような気がします。も
し定価で手に入った方がおられたら、ぜひお知らせください。僕も買いますので。
そんな中、こんなサイトがあるよと知らせてくださった方がいます。「復刊ドットコム」というサイトで、絶
版・品切れになった本を「みんなの投票で復刊させよう!」とそこには書かれています。いったいどのくら
いの投票数になったら復刊の交渉が開始されるのか分かりませんが、なかなかユニークな試みだと思い
ます。知人が早速この『早く家へ帰りたい』を登録してくれましたが、まあ詩集で何千票(何万票?)取ると
いうのは無理でしょうね。現在2票。10票まで行くかどうか? 気長に、楽しみつつ、時々このサイトをの
ぞいてみたいと思っています。
|
|
|
|
こんなに高くては
以前、この欄で拙著『早く家へ帰りたい』が在庫なしになっているという話を書きましたが(8月30日付)、
それ以後もこの本を購入したいという申し出がこちらに寄せられたりしています。
最近、ある人からのメールに、ネットで買おうとしたら22,000円にもなっていて、買うのを断念したと書か
れていました。自分でも検索してみたら、アマゾンで1つだけ、21,000円で出ていました。古書のサイトでも
調べましたが、1冊も出ていません。どうやら現在、この本を手に入れようとしたら、21,000円という法外
な金を出して、アマゾンの最後の(?)1冊を買うしかないようです。自分の本ながら、こんなに高くては手
が出ません。
以前、谷川俊太郎さんとの対談中、岸田衿子さんの第1詩集『忘れた秋』をネットで買おうとしたら、20
万円ぐらいの値が付いていて手が出なかったと言うと、僕もそう、と谷川さんは話されていました。欲しい
本があるのに高くて買えないというのは悲しいことです。
出版事情が厳しいのは分かっているけれど、どこかに商売抜きで出しましょう、というような太っ腹な社
長さんはいないかなあ。
|
|
|
|
萩原朔太郎記念「小学生の詩」表彰式
昨日、萩原朔太郎記念「小学生の詩」表彰式に参列しました。八尾市の生涯学習センターで午前11時
から12時まで。参列した受賞者や父兄など50人ほどの前で、受賞作品の講評をしました。受賞した子供
たちの照れたような笑顔を見ていたら、こちらまでうれしい気持ちになってきました。
表彰式は無事に終わりましたが、選考委員のうち二人が欠席。来る予定なのにおかしいなあと、式の
後、同じ選考委員の山田兼士さんが一人に連絡すると、完全に忘れていたとのこと。特に式での役割が
なかったので、余計に失念したのかもしれません。もう一人の選考委員で、この賞を立ち上げた中心人
物とも言える三井葉子さんは、関係者だけのお昼の会食後、ふらっとやってこられました。なんと、11時
からの開式を1時からと間違えていたとのこと。11と1。ぱっと見て、勘違いされたんでしょうね。まあ、よく
あることです(頻繁にあったら困るけど)。
その後、三井さんに誘われて、山田さんと3人で八尾駅前の寿司屋に行きました。三井さん行きつけの
お店とのこと。おいしそうな刺身や蟹が出てきましたが、こちらはもうおなかがいっぱい。ひたすらビール
を飲みながら、あれこれと話をし、ちょっとだけのつもりが気がつくと2時間ほど経っていて、家に帰り着
いた頃にはもう暗くなりかけていました。
何はともあれ、第1回目の表彰式は無事に終了。祝着祝着。
最後に、低学年の部でグランプリとなった作品をここに記しておきます。
ほよほよよ
石崎巧巳(小学3年生)
つめたいこおりを太陽にあてたら水。
ひまわりは大人
せみが麦わらぼうしにくっつく。
流しそうめんのそうめんがゆらゆら
ゆれる。
|
|
|