高階杞一 ホームページ   TOP |自己紹介|日々のあれこれ|情報既刊著書・その他の仕事作曲
  教科書・アンソロジー等ガーネット空とぶキリン社自作への付曲一覧散文反戦詩リンクお便り| 


日々のあれこれ

日々のさまざまな思いや出来事を、つれづれなるままに綴っていきます。

INDEX(一覧表示)

TOP
TOP
INDEX
INDEX
現在へ
現在へ
過去へ
過去へ





2010年11月21日 日曜日

あなたのメロディー(4)最終回−不思議な縁
 東京で飲み会をしたときのもう一人の作曲家は谷川賢作さんでした。賢作さんにも角さんと同じように 帰宅後、「あなたのメロディー」の当時の楽譜(放送で使われたもの)をお送りしました。そうしたら後日、 イベントのチラシを同封したお礼状が届きました。それを読み、ちょっとびっくり。そこには次のように記さ れていました。
 「なんと編曲が岩河三郎さん!! こんど『まどさんフェスティバル』の会場となる『葉月ホールハウス』 のオーナーは岩河悦子さんといって岩河三郎さんの娘さんです」
 えーっ!? あまりの奇遇に驚きました。葉月ホールと言えば、その「まどさんフェスティバル」で共詩の 相手である松下育男さんが講演し、そのとき賢作さんもピアノ演奏をすることを知っていたからでした。41 年の時空を超えて、過去と現在が結びついた瞬間でした。まるで41年前に3人の出会うことが暗示され ていたかのように思われました。
 岩河三郎という人がどういう人なのか、全く知りませんでした。当時も、編曲という裏方なので、たぶん お会いしていないと思います。調べてみたら、かなり著名な作曲家であることが分かりました。そんな方 に自分の曲を編曲してもらったと思うと、今更ながら光栄なことに思えてきました。
 不思議な縁はもう一つあります。この東京での飲み会は柳波賞の選考会を終えた夜でした。そして、こ の柳波賞の審査員に僕を推薦してくださったのがまど・みちおさんでした。「あなたのメロディー」、岩河三 郎、まど・みちお、松下育男、谷川賢作とつながる縁の不思議さを感じます。
 さらにもう一つ。この葉月ホールのホームページを見ていたら、そのロゴマークの絵が僕の詩集『早く家 へ帰りたい』の挿し絵を描いてくださった望月通陽さんの絵にとても似ています。どこにも作者名が書い ていないので断言はできませんが、もし望月さんの絵だとしたら、ここにも縁を感じます。

 「作曲」のページに岩河三郎さんの編曲された楽譜を載せました。原曲はハ長調ですが、放送では女 性が歌うのでト長調に移調されています。たぶん岩河さんの手書きだと思います。

 4回に分けて書いてきた「あなたのメロディー」にまつわる話はこれで終わります。書きながら、当時の ことが懐かしく思い起こされてきました。まだあの頃はいろんな夢を抱いていたな、と。


2010年11月20日 土曜日

あなたのメロディー(3)−「春の日」
 詩を書き始めて間もない頃、作詞作曲をしていたことを知った人からよく、「作詞をしていたのなら詩も 書きやすいでしょう」と言われました。同じ詩だからそう思われるのは当然かもしれませんが、でもこれは 全く逆です。詩と作詞とは全く別物です。どう違うかは長くなるのでここには書きませんが、詩を書き出し た頃、作詞の感覚をいかに取り払うかで苦労しました。ひとつ例を挙げると七五調です。今のポップスな どでは七五調の歌詞など滅多にありませんが、歌謡曲や童謡では、やはり七五調の方が曲を付けやす いという面があります。
 僕の場合、大半が曲が先にでき、後から詞を付けていました。音符の数に合わせるので、どうしても七 五調になってしまします。曲はスラスラとできるのに、詞は苦手でした。
 「あなたのメロディー」に入選した「春の日」という歌もそうでした。
 番組収録中、アナウンサーから、「この曲を作るのに苦労した点はありますか」と聞かれ、「真ん中のふ わふわのところがなかなかできなくて…」と答えています。サビの部分の歌詞が、「(雲が)ふわふわふわ ふわふわと 飛んでいくよ」という具合に、「ふわ」が5回も続くのです。
 審査員の高木東六さんと古関裕而さんのお二人から曲については、「上品で、しゃれていて、とてもい い曲ですね」というお褒めの言葉を頂きましたが、詞については高木東六さんから、「ふわふわが多すぎ ますね。はるかーに流れてとか、あそこーがどうとか、いくらでも書けるでしょ。ふわふわ過剰です」と言わ れ、このとき場内は大爆笑になりました。
 ただ、「ふわふわ過剰」については、多少確信犯的なところもありました。今50代半ば以上の人なら覚 えているかと思いますが、当時、「あなたあなたあなた…」という具合に「あなた」を8回ぐらい繰り返す歌 がヒットしていました(矢吹健「あなたのブルース」)。だからまあちょっと面白いかもと。余談ですが、後に は円広志さんの「飛んで飛んで…」も出てきます(「夢想花」)。
 古関裕而さんからは、アクセントの問題を指摘されました。出だしの「春の日」という部分のメロディーは 「ミ・ソ・ミ・ラ」と低い音から高い音になるのですが、これは関西弁のアクセントだと。標準語では逆なの で、自分で歌詞を付けているんだからその点も注意した方がいいでしょう、と。なるほど、歌詞を付けると き、あるいは曲を付けるときにはそういうことにも留意しなければならないんだととても納得されました。
 
 ここまで書いてきて、いったいどんな曲なんだと思われている方も多いかと思います。そこで、新たに 「作曲」のページを設けて、歌詞と楽譜を紹介することにしました。
 (1)のところで、「東京で飲み会をしたとき、作曲家が二人いた」と書きましたが、そのお一人が邦楽の 作曲家である角篤紀(すみ・あつき)さん。帰宅後、当時の楽譜をお送りしたところ、ピアノ曲に編曲してく ださいました。これも「作曲」のページに載せています。ピアノを弾ける人はぜひ弾いてみてください。

 本当はこのピアノ曲を紹介する目的でこれを書き始めたのですが、ずいぶんと脱線して長くなってしま いました。
 もう1回続きます。最後は、この41年前の出来事が、今と不思議な縁で繋がったというお話です。


2010年11月19日 金曜日

あなたのメロディー(2)−収録風景
 舞台脇にいて、自分の作った歌がオーケストラの演奏で流れてきたときには、震えるほどに感動しまし た。自分が作ったとは信じられないような…。ぼろぼろの服が一瞬にしてきらびやかな衣装に変わったよ うな…。
 でも、そんな夢見心地も演奏が終わると同時に消えてしまいました。舞台に呼ばれ、司会者から話を振 られると、しどろもどろになってしまいました。テレビ出演など初めてで、しかもいきなりの大舞台ですから 上がるのも無理のないことですが、それにしても、ひどい。当時のテープを聞くと、今でも情けなく、恥ず かしくなってきます。
 この番組では素人の作った歌をプロの歌手が歌うのですが、僕の歌(「春の日」)はシャンソン歌手の 大木康子さんが歌ってくださいました。他に、布施明さんと三沢あけみさんが出ていたのを覚えていま す。
 審査員は作曲家の高木東六さん、古関裕而さん、舞台美術家の朝倉摂さん、映画監督の篠田正浩さ んの4人でした。今なら当然名前を知っている各界の錚々たる人達ですが、当時はどこの誰やらほとん ど何も知りませんでした。
 古いアルバムを引っ張り出して、当日の収録風景を載せました。僕は髪を横分けにして、学生服を着 ています。当時の真面目な高校生ぶりが窺えます。この数年後には肩まで届くほどの長髪になるのです が、この時はまだ自分がそうなるとは知るよしもないことでした。
 明日はこの日演奏された歌のことや審査員の評のことなどを記します。
 第3話をお楽しみに。

大木康子さん 司会の伊藤アナと本人(右) 41年前の布施明さん

審査員
左から 高木東六・朝倉摂・篠田正浩・古関裕而


2010年11月18日 木曜日

あなたのメロディー(1)
 先月の柳波賞の帰路、東京で飲み会をしたとき、作曲家が二人いたので、自ずと話題は作曲の話にな りました。プロの作曲家を目の前にして、つい酒の勢いで、自分も昔は作曲をしていた話などをしてしま いました。
 昔も昔、40年以上も前の話です。当時、加山雄三や荒木一郎といったシンガーソングライターが登場 し、それに刺激され、覚え始めたばかりのギターをつま弾きながら楽譜にオタマジャクシを書き込んでい きました。そうして1年ほど経った頃、出来上がった曲をNHKの「あなたのメロディー」という番組に応募 したところ、なんと入選したのでした。NHKから連絡のあったとき、小躍りするくらいうれしかったのを覚 えています。1968年の秋、高校2年生のときでした。
 番組の収録は翌年の3月4日にありました。この日のことはよく覚えています。ちょうど期末テストの最 終日で、先生に事情を話し、テストを早めに切り上げて教室を出させてもらいました。そしてすぐに大阪 から東京へと向かったのですが、運悪く、全国的に大雪の降った日でした。開業してまだ4年目の新幹線 が大幅に遅れ、放送局に着いたのは本番直前でした。予定されていたリハーサルに出ることもできず、 いきなり大ホールのカメラの並ぶ会場を目にしたときは、足がすくみそうなほど緊張していました。そし て、いよいよ自分の番が来て……。
 長くなりそうなので、この続きはまた明日にでも。


2010年11月13日 土曜日

天は二物を…
 今朝、新聞(朝日)を読んでいたら、「ひと」欄にきれいな女性の写真が載っていて、思わず引き寄せら れた。タイトルのところには、「デビュー作でドゥマゴ文学賞に選ばれた作家 朝吹真理子さん(25)」と書 いてある。へえ、作家なんだと思いながら本文を読むと、デビューまでのいきさつが書いてあった。好きな 詩人(吉増剛造)に手紙を書いたら詩の雑誌に書評を書く場を与えられ、さらにその詩人の受賞パーティ でスピーチをしたら、文芸誌の編集長から小説を書いてみないかと声をかけられ、3ヶ月で書き終えた ら、それが今回の受賞となって…、という具合に、とんとん拍子のデビューである。なんだか、嘘のような 話であるが、人が世の中に登場してくるときには、何かこのような不思議な力というか縁が働くんだろうと 思う。
 新聞の記事はさらに次のように続いている。「とんとん拍子の華麗なデビューの素地には、3代にわた る文学一家の蓄積がにじむ。詩人の父も祖父もフランス文学者で(中略)大叔母はフランソワーズ・サガ ンの翻訳で知られる故・朝吹登水子さん」。なるほど、サラブレッドなんだと納得しつつ、「詩人の父」って 誰だろうと思って調べたら、朝吹亮二さんだった。
 それにしても天は二物を与えずと言うが、頭がよく(慶応の大学院生)、文学の才もあり、美人とくれ ば、こんなことわざ当てにはならないなと思われてくる。一物さえままならない者にとってはうらやましい限 りである。


2010年11月7日 日曜日

裁判所からの手紙
 先日、裁判所から手紙が届きました。表に「東京地方裁判所」と大書されたB5版ほどの大きさの封 書。こういう所から手紙が来ると、心当たりがなくても一瞬ドキッとします。恐る恐る中を開けてみると、 「再生手続開始通知書」と書かれています。何のこっちゃ? と理解不能のまま本文に目をやると、よく 知った出版社の名前が出てきて、次に、「再生債権の届出期間」と続いています。これでようやく状況が 飲み込めました。どうやら出版社が倒産して民事再生手続きを開始したようです。
 「再生債権届出書」というのが同封されていて、いついつまでに提出するようにと書かれていますが、債 権額などこちらには分かりようがなく、そもそもその出版社から本を出した覚えがなく、ひょっとしたらアン ソロジー集かもと思って調べたら、該当する本が3冊ほどありました。そこでその本の名前を記し、金額 欄には「?」と書いて提出しました。
 会社更生法とか民事再生という言葉はニュースなどでよく聞きますが、まさか自分がその当事者(債権 者)になるとは思ってもいないことでした。民事再生の手続きというのはこういうふうにするのかと勉強に はなりましたが、同時にお役所の文書というのはどうしてこう難しい言い回しをするのかと呆気にとられま した。「約定利息金」「根抵当権」などの言葉が並び、法律には疎い一般庶民にはチンプンカンプン。現 代詩も外から見たらこれと似たようなものかも知れないなと、ちらっと思ったことでした。
 後日、当該出版社からお詫びと共に、債権金額を記した手紙が届きました。債権額は6千円ほどでし た。


2010年11月3日 水曜日

ガーネット62号、詳細
 ガーネット62号の詳細を作成しました。「ガーネット最新号」の欄に記していますのでご覧下さ い。
 先日書いた今号の印刷不良について、その原因が判明しました。印刷所に問い合わせたところ、版下 のPDFをそのまま使わず、確認用にプリントアウトしたものを誤って版下に使ってしまったとのこと。完全 に印刷所のミスでした。ただ、印刷不良といっても、よく注意しないと分からない程度のものなので、読む 分にはまったく問題がないと思います。
 それにしても、こう毎回問題が続くと、やっぱり大殺界なのかなあと気弱になったりします。

 このところ曇り日が続いていましたが、今日は久し振りに快晴。仕事の方も一段落し、しばらくはのんび りとできそうです。


2010年11月1日 月曜日

平城遷都1300年祭
 会期末まで後1週間と迫った中、メイン会場の平城宮跡に行ってきました。平日のお天気の悪い中、人 も少ないだろうと思って行ったのに、会場はかなりの人出でした。会期末を目前にして、みんな駆け込み で来ているのかもしれません。
 会場は想像以上に広く、端から端まで1キロ以上あり、時折激しく雨の降る中を、たっぷり4キロほどは 歩かされました。メインの朱雀門と大極殿はそれなりに立派ですが、本体そのものよりも、広い野っ原の 中にそれがぽつんと立っている風景に惹かれました。この中を平城人は歩いていたんだなと想像しつつ …。
 メイン会場を後にして、奈良駅まで移動して、興福寺にも行きました。こちらは五重塔の内部や東金堂 (とうこんどう)の裏側にある国宝が特別公開されています。仏像などにはあまり興味のない方ですが、東 金堂内の十二神将像や国宝館の千手観音菩薩像や阿修羅像などには強く魅了されました。
 たまにはこういう古代の空気に触れるのもいいものだなと思いつつ帰宅の途につきました。それにして も疲れた〜。

朱雀門 大極殿 五重塔


2010年10月31日 日曜日

「びーぐる」9号とびーぐる詩祭
 「びーぐる」9号が10日ほど前に出ました。今号の特集は「詩人の遺言/死と詩人」。古今東西多くの 詩人にとって重要命題である「死」がどのように語られ歌われてきたかを検証しようという企画です。論 考、座談会の他、42人の詩歌人へのアンケートを掲載しています。
 拙作のフォトポエム(写真・四元康祐)、今回のタイトルは「朝の食事」。墓地で赤児にミルクを飲ませて いる母親の写真に付したものです。松下育男さんとの共詩の5作目も掲載しています。こちらのタイトル は「いのち」。「豚豚猫ヤギ河原」という奇妙な物体(?)がさまざまなものと出会いながら旅をしていくとい う我ながら不思議な作品です。どうぞ御一読を!(入手方法は「情報」欄をご覧下さい)
 目次の詳細は山田兼士さんのホームページ(9号の目次)でご覧頂けます。

 さて、次はいよいよ10号。10号記念に何かしようという話が編集同人の間で持ち上がり、詩祭を行う ことになりました。日時は11月28日(日)午後2時から。場所は大阪文学学校。内容は、小池昌代さん をゲストに招いての座談会、朗読などです。詳細は、これも山田兼士さんのホームページでご覧くださ い。


2010年10月30日 土曜日

ガーネット62号、発刊!
 本日、ガーネット62号ができあがってきました。発行日より2日早い仕上がりです。早速封筒に詰めて 発送しました。全部で152部。購読会員等の皆様には11月2日(火) までにお手元に届くかと思います。
 前回、ページの欠落という失態を演じたので、恐る恐る全体を確認しましたが、今のところ問題はない ようです。いつもできあがってくるまで心配な表紙の色も、今回はそれなりにうまく行ったようでホッとしま した。ただ、インクのノリが少々悪く、この原因については目下印刷所に問い合わせ中です。
 詳細については後日お知らせします。何はともあれ御一読を! 購読ご希望の方は、「ガーネットの入 手方法」の欄をご覧ください。




TOP
TOP
INDEX
INDEX
現在へ
現在へ
過去へ
過去へ